栗川商店/来民の「渋うちわ」
熊本県山鹿市、鹿本町の来民(くたみ)は、「渋うちわ」と呼ばれるうちわの産地として有名です。
その起こりは慶長5年(1600年)、旅の僧が、一夜の宿として来民の町の民家に世話になり、そのお礼に「団扇」作りを伝授したことに由来するとされています。
その後、明治・大正のうちわ産業振興策により、京都、丸亀とともに日本三大産地の一つに数えられるようになりました。しかし、時代の変化とともに、扇風機・クーラーなどの家庭電化製品が台頭し、うちわ産業は衰退してしまいました。現在では、伝統の来民「渋うちわ」を製造しているのは栗川商店だけとなりました。
この「渋うちわ」は和紙に柿渋を塗ることによって防虫効果と保護効果を備えています。このため大変丈夫で長持ちいたします。年とともに柿渋の色合いがさらに深みをおびていく、まさに時が育てるうちわです。